今朝は平凡な朝だった。
24年前、中学2年生だった僕は地鳴りで目を覚まし、「なになに?変な音がする」と思った瞬間体が宙を舞ったのを鮮明に覚えている。
その揺れは僕の記憶では何分続いただろう。
数分間の出来事だったけど長く感じた。
その数分間で沢山の命が奪われてしまった。
団地の一階に住んでいた当時、僕の頭を過ったのは「潰れる」だった。
幸い潰れずに済んだ途端、落ち着け!行くぞの掛け声で家から出ろ!と叫ぶ親父の声。
外に出れたが寒さが全身を襲う。
団地の住人達と寄り添い、広い道路に出た。余震が数分間隔でおきる度に悲鳴があがる。
明るくなってきた7時前、辺りは燃えた灰の雨が降る。
明るいのに暗い。まともに目を開ける事が出来なかった。
東の空は太陽なのか家事なのか、赤く染まっていた。
崩れた家々を見るたびに「死者が増えないで欲しい」と思う気持ちだったが、ニュースを見るたびに増える死者の数。
何日間車の中で過ごしただろうか。
揺れる車、数日ぶりのお風呂、温もり感じたおにぎり。
ある夜の事、僕は天井を見ながら思った事を壁紙に逆さまで書いた。
正面から見たら字が上下逆だ。
「世界が平和でありますように」と。